1/23 勧修寺&醍醐寺へ
真言宗の総本山・大本山巡り第2弾ということで、山科~伏見にある勧修寺と醍醐寺を訪ねた。今の住居が十条駅の西側あたりにあるため、山科に行くには稲荷山を越える必要がある。今回は京都醍醐寺線301に乗り、稲荷山トンネルを通って行った。
まずは勧修寺。ここは西暦900年醍醐天皇が創建した、真言宗山階派の総本山である。勧修寺近くのバス停(勧修寺北出町)で下車してしばらく歩くと、「勧修寺」と書かれた看板が見える。表通りから少し入ると勧修寺に到着。庭園が400円で見学できる。
冬だからか、観覧者は自分ひとりだけだった。寒い上に雨が降っていたので当たり前かもしれない。入口を入ってしばらく歩き、樹齢750年のハイビャクシンに囲まれた勧修寺灯篭を見学。樹齢を重ねた灌木を見たのは初めてかもしれない。今まで気付いていなかっただけかもしれないが。
書院側から見ると、手前にハイビャクシンと灯篭、奥に観音堂、越えて上醍醐・宇治の山々を臨む形になる。灌木を使っている点で独特な庭園だと感じた。
書院南庭を出てしばらく歩くと氷室の池へ。マガモが元気に泳いでいる。夏にはスイレンが咲くらしいが、冬の池もこれはこれで風情がある。本来は池の周りを歩けるらしいが、今の時期は枯れ枝が落ちてくる可能性があるらしく、「この先(遊歩道)に行くのは自由だけど自己責任で」みたいな注意書きがあった。
雨が本降りになってきたため、急ぎ足で観音堂と本堂へ。本堂は台風の影響で工事中だった。人が少ないのはそれもあったのかも。
本堂を訪ねたところで引き返し、庭園出口へ。納経所で御朱印を頂き、醍醐寺へ向かった。
醍醐寺は真言宗醍醐派の総本山で、山の上にある上醍醐と山麓に位置する下醍醐に分かれる。上醍醐はもともと修行するための霊場として有名だったが、下醍醐は926年ころ醍醐天皇により整備されたらしい。今回は時間の関係で(というか醍醐寺がここまで広いことを知らなかったため)下醍醐だけ観覧した。
総門をくぐってひたすら直進し、奥を目指す。西大門の受付で伽藍と三宝院共通の券(1000円)を頂いて伽藍へ。2分ほど歩くと国宝の金堂が見える。ここでは御本尊の薬師如来坐像を拝観できる。真言宗の御本尊は薬師如来様であることが多いらしい。
金堂から少し先へ行くと五重塔が見える。東寺の五重塔と同じく、こちらも耐震構造になっているのだろうか。ちなみに、東寺の五重塔は日本一高い木造建築物、醍醐寺の五重塔は京都府下最古の木造建築物らしい。「最古の木造建築物」とのことだが、「木造建築物」の定義が気になる所ではある。
さらに先へ進み、祖師堂で弘法大師様と理源大師様に挨拶してから日月門をくぐって観音堂へ。中では准胝観世音菩薩像を拝観できる。一歩外へ出ると、無量寿苑と弁天堂を見ることができる。激しめの雨が降っていたものの、きれいな庭園だった。
来た道を引き返し、次は三宝院へ。今の時期は三宝院内部の特別拝観が行われており、800円で拝観することができる。三宝院に入ってすぐに目に入るのは、豊臣秀吉・秀頼も造園にかかわった見事な庭園である。
今までいくつか庭園を見てきて、龍安寺の石庭のような「一見シンプルだが様々な解釈を許容する」庭園もあるなか、この庭園はストレートに手が込んでいるなと感じた。奥に鎮座する「天下人が所有する石」である藤戸石や、池の中央に位置する亀島・鶴島、手前の賀茂の三石など、見てて飽きない場所だと感じた。
奥に行くと、三宝院のもう一つの目玉である弥勒菩薩像(快慶作)を拝観できる。運慶が力強い作風であるのに対して快慶は繊細な作風が特徴らしいが、その説明にたがわずこの弥勒菩薩像も柔和な面持ちをしていたように思う。ミニ望遠鏡みたいなやつで細かいところまで観察している人がいたのが印象に残った。そのほか奥宸殿の醍醐棚など、興味深い作品がたくさんあった。
一通り見終わったあと、三宝院を出て帰路についた。雨がひどく、心なしか寒さも増していた。帰宅してから日本美術の本を引っくり返しつつゆっくりした。寺社仏閣をより深く理解するため、日本美術の勉強などもぼちぼちしていきたい。