3/16 南紀旅行6日目
今日は南紀旅行の大目的でもある、長沢芦雪ゆかりの錦江山無量寺へ。
腹ごしらえということで、まずはカフェ(ツバキ コーヒー&モア)で朝ごはんを食べた。とてもおしゃれかつ落ち着いた内装で、リラックスすることができた。
食事を終えた後は無量寺へ向かった。無量寺は町営墓地の横、あまり目立たない町中にあった。ここに本当に芦雪の作品があるのだろうかというほど静かだったが(平日だったせいもあるかも)、これはこれで良いなと思った。
無量寺に併設されている串本応挙芦雪館のスタッフさんに収蔵庫へ案内して頂き、応挙と芦雪の画を拝観した。芦雪の代表作である虎図・龍図は写真で見るのとはやはり異なり、見た瞬間のインパクトが凄かった。また、(スタッフさんに見せてもらったのだが)収蔵庫の扉を開けて龍図が日光に照らされた瞬間、龍が雷鳴の中に躍動するように見える様は圧巻であった。
収蔵庫には虎図・龍図の他にも芦雪の作品がいくつかあった。そのうちのひとつである「薔薇図」には、のちの「海浜奇勝図屏風」に代表されるような奇岩が描かれていた。これについてスタッフさんに尋ねたところ、「南紀出身の自分からすると、奇岩というほどの違和感はない」とのことだった。確かに南紀には橋杭岩のような特徴的な岩が多いし、思い返せば那智勝浦のホテル浦島に宿泊した時、玄武洞からの景色が海浜奇勝図屏風にそっくりであった(気のせいかもしれないが)。芦雪が描く迫力のたっぷりな岩は南紀由来なのだとあらためて理解した。
収蔵庫を見せて頂いてから串本応挙芦雪館本館に戻り、他の作品を鑑賞した。本館には応挙・芦雪の他、白隠慧鶴や伊藤若冲の画もあった。若冲の髑髏図にはなかなか衝撃を受けたが、江戸時代なら髑髏とかは見慣れたもので、ただそこにあったものを写し取ってみただけなのかなとも思った。川べりに鎮座しているような髑髏の画は、見ていて飽きなかった。
残念ながら本堂は法要中のため入れなかったが、画の実物は収蔵庫で見ることができたので良かった。
無量寺を後にし、昼ごはんで寿司を食べた(松寿司)。ネタは新鮮、シャリは赤酢の酢飯で非常においしかった。
その後、本州最南端の看板がある潮岬へ向かった。休憩所には、木曜島(豪州)での白蝶貝採取と日本人ダイバーの歴史が書かれており、非常に興味深かった。
夕暮れが近づいてきたので潮岬を後にし、ホテルまで散歩して帰った。
1/23 勧修寺&醍醐寺へ
真言宗の総本山・大本山巡り第2弾ということで、山科~伏見にある勧修寺と醍醐寺を訪ねた。今の住居が十条駅の西側あたりにあるため、山科に行くには稲荷山を越える必要がある。今回は京都醍醐寺線301に乗り、稲荷山トンネルを通って行った。
まずは勧修寺。ここは西暦900年醍醐天皇が創建した、真言宗山階派の総本山である。勧修寺近くのバス停(勧修寺北出町)で下車してしばらく歩くと、「勧修寺」と書かれた看板が見える。表通りから少し入ると勧修寺に到着。庭園が400円で見学できる。
冬だからか、観覧者は自分ひとりだけだった。寒い上に雨が降っていたので当たり前かもしれない。入口を入ってしばらく歩き、樹齢750年のハイビャクシンに囲まれた勧修寺灯篭を見学。樹齢を重ねた灌木を見たのは初めてかもしれない。今まで気付いていなかっただけかもしれないが。
書院側から見ると、手前にハイビャクシンと灯篭、奥に観音堂、越えて上醍醐・宇治の山々を臨む形になる。灌木を使っている点で独特な庭園だと感じた。
書院南庭を出てしばらく歩くと氷室の池へ。マガモが元気に泳いでいる。夏にはスイレンが咲くらしいが、冬の池もこれはこれで風情がある。本来は池の周りを歩けるらしいが、今の時期は枯れ枝が落ちてくる可能性があるらしく、「この先(遊歩道)に行くのは自由だけど自己責任で」みたいな注意書きがあった。
雨が本降りになってきたため、急ぎ足で観音堂と本堂へ。本堂は台風の影響で工事中だった。人が少ないのはそれもあったのかも。
本堂を訪ねたところで引き返し、庭園出口へ。納経所で御朱印を頂き、醍醐寺へ向かった。
醍醐寺は真言宗醍醐派の総本山で、山の上にある上醍醐と山麓に位置する下醍醐に分かれる。上醍醐はもともと修行するための霊場として有名だったが、下醍醐は926年ころ醍醐天皇により整備されたらしい。今回は時間の関係で(というか醍醐寺がここまで広いことを知らなかったため)下醍醐だけ観覧した。
総門をくぐってひたすら直進し、奥を目指す。西大門の受付で伽藍と三宝院共通の券(1000円)を頂いて伽藍へ。2分ほど歩くと国宝の金堂が見える。ここでは御本尊の薬師如来坐像を拝観できる。真言宗の御本尊は薬師如来様であることが多いらしい。
金堂から少し先へ行くと五重塔が見える。東寺の五重塔と同じく、こちらも耐震構造になっているのだろうか。ちなみに、東寺の五重塔は日本一高い木造建築物、醍醐寺の五重塔は京都府下最古の木造建築物らしい。「最古の木造建築物」とのことだが、「木造建築物」の定義が気になる所ではある。
さらに先へ進み、祖師堂で弘法大師様と理源大師様に挨拶してから日月門をくぐって観音堂へ。中では准胝観世音菩薩像を拝観できる。一歩外へ出ると、無量寿苑と弁天堂を見ることができる。激しめの雨が降っていたものの、きれいな庭園だった。
来た道を引き返し、次は三宝院へ。今の時期は三宝院内部の特別拝観が行われており、800円で拝観することができる。三宝院に入ってすぐに目に入るのは、豊臣秀吉・秀頼も造園にかかわった見事な庭園である。
今までいくつか庭園を見てきて、龍安寺の石庭のような「一見シンプルだが様々な解釈を許容する」庭園もあるなか、この庭園はストレートに手が込んでいるなと感じた。奥に鎮座する「天下人が所有する石」である藤戸石や、池の中央に位置する亀島・鶴島、手前の賀茂の三石など、見てて飽きない場所だと感じた。
奥に行くと、三宝院のもう一つの目玉である弥勒菩薩像(快慶作)を拝観できる。運慶が力強い作風であるのに対して快慶は繊細な作風が特徴らしいが、その説明にたがわずこの弥勒菩薩像も柔和な面持ちをしていたように思う。ミニ望遠鏡みたいなやつで細かいところまで観察している人がいたのが印象に残った。そのほか奥宸殿の醍醐棚など、興味深い作品がたくさんあった。
一通り見終わったあと、三宝院を出て帰路についた。雨がひどく、心なしか寒さも増していた。帰宅してから日本美術の本を引っくり返しつつゆっくりした。寺社仏閣をより深く理解するため、日本美術の勉強などもぼちぼちしていきたい。
1/16 東寺&一乗寺エリアへ
京都に住み始めて1年弱が経ったが、せっかく京都に住んでいるということでお寺や神社をめぐることにした(今までもちょいちょい訪ねてはいたが)。
まずは近所にある東寺(教王護国寺)へ。ここは796年に創建、823年に嵯峨天皇から弘法大師へ下賜され、日本初の密教寺院として広く信仰を集めた。昔は西寺もあったらしいが、13-16世紀に廃寺になったらしく今はバス停しかない(バス停はなぜあるのだろう)。
しばらく歩いて東寺へ。800円で金堂・講堂・五重塔を含む庭園を見学することができる。実は春に1回来ていたのだが、そのころとはだいぶ景色が違っていた。下の写真の手前は「不二桜」と呼ばれるしだれ桜。
今の時期はたまたま特別拝観で五重塔内部が公開されており、中の如来像や菩薩像を拝観することができた。柱に描かれている金剛界曼荼羅も壮観だった。また、ガイドみたいな人が説明してくれたところによると、この東寺の五重塔は木造建築物としては日本で最も高く、その上耐震構造になっているらしい。五重塔の中央を貫く柱を1本でなく数本で構成することで、揺れを分散するらしい。昔から地震対策はピカイチだったのだなと思った。
五重塔の次は金堂・講堂へ。金堂では御本尊である薬師如来像、日光・月光菩薩像を拝観した。ちょうど胃腸炎が治るか治らないかという時期だったので、御利益があれば…と少し欲深い気持ちが出た。講堂では立体曼荼羅を見たが、圧巻だった。ここでは大日如来を含む五智如来、五大明王、五大菩薩を拝観できる。空海は視覚的なインパクトを大事にした(とどこかで見た気がする)らしいが、それも納得の迫力だった。
一通り庭園を見終わった後は御影堂で弘法大師様に挨拶し、食堂へ向かった。ここの納経所で御朱印を頂くことができる。現存最古の彩色曼荼羅である両界曼荼羅を眺めてから弘法大師様の御朱印を頂いた。
だいぶ歩いてお腹が空いたため、ラーメンを食べに行くことにする。以前から友人に「一乗寺あたりにたくさんラーメン屋がある」と聞いていたため、一乗寺エリアに向かうことにした。バスを乗り継ぎ、お目当ての店へ。
今回は「スープがもはや固形」と評判の極鶏(ごっけい)へ。普段は行列必至らしいが、16時おひとりさまだったためか一瞬で入ることができた。1回目ということで、定番メニューの鶏だく卵かけご飯つきを注文。
胃腸炎がぶり返さないか心配だったが、よく噛めば良いだろうと考えて気にしないことにした。注文してからすぐにラーメン&ご飯が到着、早速食べてみた。麺をすくうと粘度マックスのスープが絡んで一緒についてきた。食べてみると、油っこいのかと思いきや意外とさっぱりしていた。上に乗っているネギもおいしかった。普通に食べるとスープが余ってしまうが、そこでご飯の出番。刻みチャーシュー+卵を味わったあと、スープを投入して食べた。非常においしかった。次は他のメニューを注文したい。
折角北の方まで来たのにそのまま帰るのはもったいないということで、三条の辺りにある丸善京都本店へ。コロナ禍ではあったが、割と混雑していた。適当にぶらぶらしていると、やたらとレモンが置いてある区画を発見した。梶井基次郎の誕生日か何かかなと思ったが、実はこの丸善京都本店が梶井基次郎の「檸檬」に登場した丸善らしい。さすが京都…と思いつつ、縁起が良さそうなので真っ黄色の特別装丁の檸檬を購入した。
本を購入して満足したので、丸善を出て帰途についた。
1/31日常
最近はやりのmaterials informaticsの波にちょっと乗ろうと思い、pythonにpymatgenライブラリを入れてみた。
輸送特性で遊びたかったのでBoltzTraP2というモジュール(公式サイトと日本語紹介サイト)をインストールしようとしたのだが、なぜかうまく行かなかった。
解決方法に関して、備忘録を兼ねてここにメモしておこうと思う。
最初はOSがWindows10、Anaconda promptを使ってインストールを試みた。
日本語紹介サイトにはUnix/Linuxで要コンパイルって書いてあるけど、無根拠に何とかなるんじゃないかと思っていた(失敗したが)。
pip install BoltzTraP2を実行したところ、途中でcmakeとかmakeができませんみたいなエラーがでたので、C++コンパイルのためにVisual Studioを入れたり、CMakeというフリーソフトウェアを入れたり、windowsでもmakeできる(らしい)ソフトを入れたりした。よくわからんモジュールも入れた気がする…。
そうして四苦八苦したが、結局Windowsではどうにもならなかったので、Linuxに頼ることにした。ありがたいことに、Windows10ではOSを切り替えなくてもWindows Subsystem for Linux (WSL)とかいうやつでLinuxが使えるらしいので、それを使った。
「コントロールパネル」→「プログラム」→「Windowsの機能の有効化または無効化(画面右側)」をクリック→「Windows Subsystem for Linux」にチェック→OK→再起動
で準備完了。
Microsoft StoreからUbuntuをインストール。やや時間がかかった。
名前とパスワードを設定したあと、環境設定を開始。こちらのサイトを参考に、環境設定を行った。UbuntuにはPythonがプレインストールされているらしい。リンク先がなくなったら困るので以下簡単にコマンドのみ抜粋しておく。
sudo apt update
sudo apt -y upgrade
システムの更新およびアップグレード
python3 -V
バージョン確認
sudo apt install -y python3-pip
pipインストール
sudo apt install -y build-essential libssl-dev libffi-dev python3-dev
重要なビルドツール・開発ツール(よくわからない)
sudo apt install -y python3-venv
venvモジュールインストール
mkdir environments
cd environments
仮想環境を配置するディレクトリを生成・移動
python3 -m venv my_env
仮想環境構築
source my_env/bin/activate
仮想環境をアクティベートする
こうして作った仮想環境内では、pip3じゃなくてpipコマンドでもだいたいの場合動作するらしい。
続いて、仮想環境の中にマテインフォ関連のライブラリ等をインストールする。
仮想環境をアクティベートさせたまま、以下のライブラリやらモジュールやらをインストールする。順番に、
pymatgen
ipykernel
ipython kernel install --user --name=(カーネルのなまえ)
(jupyter notebookで仮想環境のカーネルを使いたいため。デフォルトだと仮想環境でない方(base)を参照してしまう。)
tqdm
pyfftw
(wheel?)
(この3つはBoltzTraP2のインストールに必要っぽい。wheelは警告が出たら足せばいいかも)
BoltzTraP2
仮想環境の外(base)に戻ってjupyter notebookをインストール。その後jupyter notebookを起動しようとしたが、ブラウザが立ち上がらない。加えて、CUIの文字が消えるので何が起こっているのか分からない。PCの詳しい所をぜんぶすっ飛ばしてやっているので原因も分からない。
とりあえず対症療法でこちらのサイトを参考に
env BROWSER="/mnt/c/Program Files (x86)/Google/Chrome/Application/chrome.exe" jupyter notebook
でブラウザを立ち上げた。文字が消える問題は、
jupyter notebook --generate-config
で設定ファイルを作成し、~/.jupyter/jupyter_notebook_config.pyにある設定ファイルをテキストエディタで開いた後、いちばんうえに
c.NotebookApp.use_redirect_file = False
を付け足すことで解決した。
jupyter notebookを開くと、CUIにローカルのパス(http://localhost:8888...)が表示されるので、これをchromeなりなんなりのURL窓に張り付けると対象のフォルダに移動できる。
これでだいたい終わり。
終わった後にBoltzTraP2を使って計算してみたが、うまく動いてくれた。
長い闘いだったが何とかなってよかった。PCの勉強をしないといけないと思った。
終わってから、簡単なものならGoogle Colabを使えばもっと楽なのだったのではないかと気付いたが、楽しかったのでよしとする。
1/20日常
息抜きに、大学入学時(2012年)に買ってもらったPCのメンテナンスをした。
具体的には、PCの分解清掃(裏蓋を開けただけ)、メモリ増設、SSD換装を行った。
適当に調べて我流で行ったので内容に責任を持てないが、備忘録ついでに作業内容を書こうと思う。
機種:VPCEH39FJ
Windows 10は高速スタートアップが有効になっているということで、まずは完全シャットダウン(shiftキーを押しつつシャットダウン)した。
その後、バッテリーを外して裏蓋を外す。
PCを開けて、まずたまっているホコリの多さに驚いた。特にCPUファンの部分。エアダスターで吹き飛ばしていく。
ファンの部分はホコリを取り切れなかったので、軽く拭いた。
掃除をした後は裏蓋を戻し、メモリを増設。
元々入っていたメモリを外して、購入したメモリを取り付けた。
Team ノートPC用メモリ SO-DIMM-DDR3 永久保証 ECOパッケージ (1333Mhz PC3-10600 1.5V 4GBx2)
次にSSD換装を行った。
まずは元々入っているHDDからSSDにクローンした。
その際、こちらのブログを参考にした。
Crucial クルーシャル SSD 480GB BX500 SATA3 内蔵2.5インチ 7mm CT480BX500SSD1
Sabrent USB 3.0変換アダプタケーブル、2.5インチSATA/SSD/HDD用 [UASP SATA3対応] (EC-SSHD)
作業終了後に早速PCを立ち上げてみたが、問題なく動作したので安心した。
これからもPCの内部清掃は定期的に行っていきたい。
9/10日常
Prime videoでTBSドラマ「アンナチュラル」を視聴した。
回を追う毎に話に引き込まれていき、一気に見てしまった。
内容としては、不自然死の原因究明を目的とするUDIラボを舞台として、法医解剖医である三澄ミコト(石原さとみ)が死因究明を通して周りの仲間と様々な事件を解決するというものになっている。
後半は、もう1人の法医解剖医である中堂系(井浦新)の恋人が8年前に不自然死した、その謎の解明が主題となっている。
個人的には後半の流れを決定づけた第5話がいちばんお気に入りの回。
終盤、雪の中で佇んでいる中堂がどんな気持ちでいるのか。恋人の死以来、中堂を形作っている考え方、妄執がこの回の事件を通して色濃く出ているなと感じた。
また、ドラマを通して、法医学とは何をする(べき)医学なのかという問いを一貫させていた点も印象的だった。個人的には、全国に法医学者が150人くらいしかいないという事実も衝撃だった。
単なるエンターテインメントに留まらない、良い作品だったと思う。